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葬儀の知識

霊柩車を見たら親指を隠す!?またバックしてはいけない理由について。

一級葬祭ディレクター/中原優仁【記事監修】厚生労働省認定
一級葬祭ディレクター/中原優仁

霊柩車を見たら親指を隠す理由について

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霊柩車を見かけたら親指を隠しなさいと言われましたが何故でしょうか?

親指を隠す

年代にもよりますが霊柩車を見かけたら親指を隠さないといけないという風習があったりします。私は40代ですが、この言い伝えは聞いたことがあります。しかし30代以下はこのような言い伝えや風習を聞いたことがない方は多いのではないでしょうか。

霊柩車が走っているのを見かけ親指を隠さないでいると、

  • 親に不幸がある
  • 親の死に目に会えなくなる
  • 親が早死にする

など親指というのを「親(父や母)」に見立て、親に縁起が悪いことが起こるなど、さまざまな迷信や云われがあります。昨今ではほとんど聞かない忘れられた言い伝えではありますが、年配の方は気にしているケースがあると思います。

このような云われは大正~昭和中期頃に墓地や火葬場まで親族が列を組んで歩いて向かう「葬列」を行っていた時代からいわれていたとされ、親指を隠す理由にはさまざまな諸説があるようです。

①昔の日本では親指が霊魂の出入り口というような言い伝えがあったとされ、葬儀の際に、死者の霊魂が自分に入り込まないように隠す、もしくは親指を握ることで気を高め自分の身を護るなどの考えがあったとされています。この言い伝えが「親指=親」という風に異なった云われに変化していき、親の不幸に変わっていったとされています。

叉手(さしゅ)

叉手(さしゅ)と呼ばれる仏教において神仏や故人に敬意を表すお作法があり、両手で親指を包み隠す作法からきているという説。
画像引用元:臨済宗洪福寺

諸説ありどれが正しいかは定かではありませんが、こちらの二つが一番信憑性がある理由や由来のように感じます。

霊柩車でバックしてはいけない!?

霊柩車にご遺体を載せている際、バックしてはいけないという云われもあったりします。

実はバックしては行けないという云われは現在でも残っており、どうしても狭い道での切り返しをなど仕方がないケースもありますがドライバーは極力バックしないように心がけております。

理由としてはバック=戻る=成仏できないという云われがあるからです。迷わず成仏できるように真っすぐのみ走行するという考えです。

霊柩車が火葬場へと到着し帰り道の経路は行きと異なる経路で戻るという風習もあります。こちらは霊柩車に魂が付いてこないように(成仏できるように)ということで地方ではまだ残っている風習であります。

また、ご遺体を載せた霊柩車で神社の前を通ってはいけないという風習もあります。神道では死を穢れとする考えであるためこのような風習が生まれたといえます。

葬儀や人の死においては霊柩車以外にもさまざまな風習があったりします。

  • ご飯にお箸を立てる逆さごと
  • お棺をグルグル回してから出棺する
  • 出棺の際玄関先で火を着ける(送り火)

などなど他にもたくさんあります。どの風習も故人が成仏できるようにと行われている風習です。

葬儀に関わらず「夜に口笛を吹いてはいけない」「夜に爪を切ってはいけない」などのような迷信もあったりしますが、昔の人たちはさまざまな行いについてさまざまな考えを持ち、それらを広めていったことが分かります。

霊柩車は実は縁起がいい!?

「霊柩車を見ると縁起が良い」という考え方もあったりします。

お坊さんの法話で聞いたことがありますが、霊柩車には死人が乗っているので縁起がよくないという一方、霊柩車はこの世とあの世の繋ぐための車でありいいところに連れて行ってくれるのだから縁起がよいというお話を聞きました。

人が亡くなるということは新しい命が生まれるということだというお坊さんもいらっしゃいます。親指を隠す以外にも霊柩車を見たらいなくなるまで息を止めろなどの云われもありますが、そのようなことは全くもって気にしなくていいんだよというお話をされていました。

ネガティブな考えよりもポジティブな考えの方が故人もよいと思うので、よい方に捉えた方が前向きで安心して供養ができるとは感じます。

まとめ

こちらでは霊柩車を見たら親指を隠しなさいといわれる理由や、バックをしたらいけない理由などについてご紹介いたしました。

ひと昔前まではこのような云われや風習が強く根付いていましたが、昨今では薄れてしまい若者の間では「なにそれ?」と、ほとんど聞いたことがない風習だと思います。

お坊さんは法話の中で人の死や葬儀、その他風習などについてポジティブであり前向きな考えをお話してくれたりします。「死」は決して縁起がよい出来事ではありませんが、前向きに考えることもできるということです。

最期までご覧いただき誠にありがとうございました。

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