はじめに
急な葬儀に参列する際
- 履いていく靴が無い・・・。
- どれを履いて行けばいいのか・・・?
- 時間はあるし購入しようかな?
- 靴下はどんなものがいいのかな?
と悩まれる方もいらっしゃるかと存じます。
こちらではお葬式で着用する靴(フォーマルシューズ)の知識やマナーを男性・女性・子供別にご紹介いたします。
本ページの画像・写真については全国に展開する「洋服の青山」さんのものを使用させていただいております。(※無断転載ではありません。)
男性の靴の選び方
まず冠婚葬祭のシーンで履いていく靴は「黒のフォーマル」であることが大前提です。
黒いフォーマルの靴は「フォーマルシューズ」とも呼ばれており、靴ひもが付いているものとなります。
お葬式は故人を偲ぶための悲しみの場ですから、その厳粛な雰囲気にあわせ、フォーマルなデザインを選ぶことが大切になってきます。ただ男性用の靴は種類が少なく、黒のフォーマルといってもどれがフォーマルであるのか違いがわかりにくいですよね。
自宅や葬儀場に参列する際はフォーマルシューズの着用が望ましいですが、急な訃報で平服や私服での参列の場合はフォーマルな靴でなくても問題はありません。(※平服とは略喪服のことでブラックスーツやダーク系のスーツなど地味な色合いのものをさします。)
靴の種類
◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
内羽根式ストレートチップ | 内羽根式プレーントゥ | 外羽式根ストレートチップ | 外羽根式プレーントゥ |
皆さんが一番悩まれるのが靴のデザインではないでしょうか?
結論から言うと、「内羽根式のストレートチップ」がベストです。
「ストレートチップ」とはつま先部分に横に一本ラインがはいったデザインで、「プレーントゥ」はつま先にラインのないデザインです。
「内羽根式」とは紐を通す羽根の部分が内側に縫い付けられたデザインで、「外羽根式」とは紐を通す羽根の部分が外側に縫い付けられたデザインです。
内羽根は、ひもを解いた場合でも羽根が全開にならないところから、見た目にも品がよく美しいため、外羽根よりもフォーマルになります。
その他のデザインでいうと、ローファーは大人の場合はNGですが、小学生・中学生・高校生の場合は問題ありません。その場合は併せて学制服を着用しましょう。
穴飾りのものや(メダリオン)、金具のついたもの、鋭角のもの、切り返しデザインのもの(ウイングチップ、Uチップ)は避けるのがマナーです。
また、靴紐なしのスタイリッシュなデザインの靴もありますが、カジュアルになりますので靴紐がある靴を選びましょう。
靴の色
最もふさわしい色は「ツヤのない黒色(マット)」です。
ビジネスシーンでは茶色の靴も好まれていますがお葬式の場ではとても目立ち浮いてしまいます。
黒に近い茶色やグレーなどダークカラーも避け、紐などの部分にほかの色が入っている場合もNGです。
靴を脱ぐこともあるかもしれませんので中敷きも派手な色ではなく、落ち着いた色の中敷きにしたほうがよいでしょう。
そして黒の靴は意外と汚れがよく目立つので、着用する前にシューズブラシや布などで汚れを拭きとり、綺麗に手入れしておきましょう。
フォーマルシーン用にと大切にしまってあった靴が、その当日になっていざ履こうとするとソール部分が加水分解していてボロボロになったり剥がれてしまうという事例は良くあることで、葬儀業界のスタッフ内ではあるあるであったりします。
もしものときに慌てることのないように、あまり履く機会のない靴だからこそ、時々お手入れしてあげてくださいね。
靴の素材
〇 | × |
合成革・本革・ツヤのない布 | アニマル柄・スエード・エナメル |
お葬式の場にふさわしい素材は「合成革」「本革」「ポリエステルなどツヤのない布」になります。
本来では葬儀に参列する場合に本革はよくないとされていますが、靴の場合は本革を避けるとなると購入の際に選択肢が限られてきますので許容されています。
ただし、ヘビやワニ(クロコダイル)などアニマル柄の型押し、スエードなどは「動物の殺生」のイメージが強いのでタブーとされていますので着用を避け、光沢感のあるエナメルなども華美な印象を与えますので控えましょう。
※「殺生(せっしょう)」とは生き物(動物)を殺すことを意味します。
葬儀社スタッフは毎日着用しますので、フォーマルシューズ=「消耗品」ということから合成皮革の靴を着用している方が多いです。
また、靴屋さんにおいては合成皮革の靴【通気性・軽さ・歩きやすさ・防水などの機能性】がある快適なフォーマルシューズの方が売れるということで、本革の商品をたくさん取り扱っているお店はそう多くはなく、布製のフォーマルシューズとなるとほとんど見かけません。
金額的にも本革と合成皮革では大幅に違ったりします。
ご高齢の年配の方や足が不自由な方は本来の正しいマナーよりも機能性を重視した靴やスニーカーなど歩きやすい靴を着用した方がよいといえます。
男性の靴下
靴ばかりに気がいってしまいがちですが、靴下にもいくつかポイントがあります。
お葬式の際に靴を脱ぐ場面があるかもしれませんし、椅子に座った際にも靴下は少し見えますよね。
靴下は「ミドル丈の黒無地」が基本です。
柄物や、黒以外の色物、くるぶし丈のアンクルソックスは避けましょう。
丈が短いと素肌が見えてしまうのでそうならないためにミドル丈がおすすめです。
ワンポイントやリブソックス・五本指の靴下はOKです。
靴紐の通し方・結び方
靴紐の通し方は「シングル」が一般的で、誰でも簡単に靴紐を通すことができます。
「パラレル」も一般的ですが少し複雑な通し方になります。
「オーバーラップ」や「アンダーラップ」は靴が好きな方や専門職の方しか知らないかと思います。
結び目は蝶々結びで問題ありません。「イアン・セキュア結び」など靴紐がほどけにくい結び方もありますが、聞いたことが無い方も多く一般的ではありません。
香典の「水引」に関しては蝶々結びはNGになります。
購入すべき?
「購入すべきか・・・?」
昨今では家族のみの家族葬も増加しており、靴はもちろん喪服に関してもそこまで厳しいマナーを求められることはあまりありませんが、葬儀に参列するシーンはいつ訪れるか分かりませんので、大学生以上の方は大人の身だしなみ・マナーとして一足くらいは購入されてもよいといえます。
メンズのフォーマルシューズでは、
「内羽根式のストレートチップ」が冠婚葬祭に置いて幅広く着用できるためオススメです。
女性の靴の選び方
女性の場合は「黒のラウンドトゥで3~5cmの太めのヒールのパンプス」がベストで、葬儀参列でのフォーマルシューズになります。
靴のデザイン
靴のデザインは「ラウンドトゥで3~5cmの太めのヒール」が一番フォーマルですがスクエアトゥでも問題ありません。
最近ではリボンがついているパンプスがお葬式用として販売されていたりもしますが、基本的には飾りがついたものや、刺繍などは華美な印象がありますので、無地のものを選びます。
ストラップについては華美な飾りのないシンプルなものについてはOKです。
◎ | 〇 | △ | × |
ラウンドトゥ | スクエアトゥ | ポインテッドトゥ | オープントゥ |
ピンヒールや高すぎるヒールも避けましょう。
ヒールの高さの目安は3~5cmになります。
お葬式では長時間立ちっぱなしであることも想定されるので、履きやすく疲れにくいご自身にあったパンプスを選ばれることも大切ですね。
靴の色
男性と同じく女性の靴も「ツヤのない黒(マット)」がお葬式にふさわしい色になります。
光沢やラメがあるものは控えて、シンプルな黒色を選びましょう。
もちろんダークカラーなどの色も避けてください。
靴の素材
素材は「合成革」「本革」「ポリエステルなど布製」で、いずれもツヤや光沢のないものを選びます。
本来正式なものは布製ですが、最近では革製のものを着用する方も多くいらっしゃいます。靴屋さんにおいても大半の商品が革製品のものを取り扱っています。
動物柄(型押しも含む)や、ヘビ、クロコ革などは「殺生」をイメージさせるため避けましょう。
また、革でもカジュアルなイメージのあるスエードや、光沢のあるサテンやベロアなどは避けます。
ストッキング
ストッキングは「黒色の30デニール以下」のものを着用します。
タイツは基本的にはNGとされていますが、冬場の寒い時期などは80デニールまでのものならOKです。
ラメが入っているものや、ワンポイントのあるもの、カラータイツ、華美なものは「服装」や「靴」同様にNGです。
もちろん素足もいけません。
また、ストッキングは伝線しやすく、黒色のストッキングが伝線すると目立ちますので、予備を準備していたほうが安心です。
子供や学生の靴
お葬式において子供や学生の靴に関してはあまり決まったマナーはありません。
制服にあわせた学校指定の靴があればそれがベストです。
もし決まった靴がない場合はキャラクターものなど派手なものはさけて、黒や紺、グレーなど暗い色目や地味な色合いの靴を選べば大丈夫です。白色でも問題ありません。
まとめ
こちらでは葬儀の際の靴(フォーマルシューズ)についての知識やマナーをご紹介しました。
- 【メンズ】マットな黒の革紐靴
- 【レディース】ヒールが付いた艶無しの黒のパンプス
が葬儀での着用にふさわしいフォーマルシューズになります。
しかし、本来のマナーと現実での着用は異なり、黒の革靴でも装飾のあるものを履いている方も多くいらっしゃいます。
男女ともにどういったものがフォーマルな靴だと分かって着用している方は少ないかもしれません。
こちらのページを見ている方は葬儀で着用する靴について興味があるかと存じますので、時間に余裕があれば購入を検討してもよいのではないでしょうか?