坊主丸儲け?
「坊主丸儲け」という言葉を聞いたことがあると思いますが、意味はというと、
資本や資材などの元手が無くとも、仕事で大きな利益が出て儲かっている。
という意味になり、元々お寺さん(僧侶)の仕事事情から由来していることわざになります。
- 坊主丸儲け
- お寺さんは儲け過ぎ
- 人の生を商売にするなんて・・・
など、お寺さん事情に詳しい地元住民などは別として、皆様の中ではお寺さんは身体一つでお参りに来て、多額の御布施が発生するボロい商売「坊主儲けすぎ」というイメージを持っている方は多いと思います。
こちらでは宗教者は本当に「坊主丸儲けなのか?」「坊主儲けすぎなのか?」について分かる範囲で書いていこうと思います。
坊主とは?
「坊主」という言葉は本来「房主」と書き、お寺さんの呼び方になります。
- 住職
- 僧侶
- 和尚
- お坊さん
- お寺さん
- 先生
- おじゅっさん
などさまざまな呼称があり、宗教・宗派によるものや、地域によるもの、世間一般的での呼び方があり、「坊主」というのも仏教の宗教者に対しての呼び方です。
「坊(房)」は寺院を指し、「主」はあるじ、ということから坊の主で「ぼうず」です。
役職は住職と同じような立ち位置になり、寺院の偉いさんを意味するのですが、あまり使わない言葉ですよね?もしくは、お寺さんに坊主と言うのは失礼と思っている方もいらっしゃいます。
本来は立派な呼び方ですが室町時代以降、頭を丸めていることから住職以外の一般の僧侶に対しての呼称になり、それが宗教者以外でただ単に頭を丸めている人の呼称となり、現在ではお寺さんの呼び方として実質失礼な言葉になっていたりします。
理由は、「悪い事をすると頭を刈り上げて坊主頭にする」という反省のイメージが強いと思います。
- 浮気や不倫
- 刑務所での髪型
など世間一般的にも芸能界においても悪いことをすれば坊主にするというのは現在でもたまにあったりします。
そして、お寺や葬儀ネタでの漫才やコントなどでも「坊主」と呼んでいる芸人さんも多かったりします(※こちらは個人的なイメージです)。
このようなことも背景にあり、お寺さんに対して坊主と呼ぶ方が少なくなったと予想されます。
しかし、お寺さんの中には、
元々、房の主という意味なんだから間違いではないし、そう呼んでくれても良い。
というお寺さんもいらっしゃいましたが、私は呼べません。。。
お寺さんがいない所では言えたとしても、実際に面と向かって「坊主」という人には出会ったことがありません。
お寺さんが頭を剃る理由は、出家をし108ある煩悩を消さなくては悟りが開けないという考えがありますので、髪の毛が長いとこだわりが出たり、薄毛や抜け毛があると気になって仕方が無いなども煩悩でありますので、修行に集中できなかったりします。
修行を行うにあたり、邪魔でしかない煩悩を断ち切るため髪の毛を刈り上げています。
髪型など余計なことを考えず、修行だけに集中しなさいという理由です。
お寺さんのことを何て呼べば良い?
葬祭業に携わっている人は、宗教者のことを
- 住職
- 和尚
- 先生
と呼ぶ者が多く、先生が一番多いようなイメージです。
一般の方は、
- お寺さん
- お坊さん
- 住職
- 和尚さん
あたりが一般的であり、呼び方に悩んでいる方は上記のどれかでよいでしょう。地域によっては「おじゅっさん」などと呼ぶケースもありますが、ごく一部であったりします。
また、創価学会では寺院を構えていないので、上記のような呼び方はせず、
- 儀典長
- 支部長
- 地区部長(地区婦人部長)
などの役職で読んだり、「〇〇さん」など名前で呼んだりします。
本当に坊主丸儲けなのか?
「資本や資材などの元手が無くとも、仕事で大きな利益が出て儲かっている。」という意味の、「坊主丸儲け」ということわざをご紹介しましたが、「元手無し」と「大きな利益」という面が引っかかると思います。
元手が無しというのは、極端な例えになり元手がゼロということでは無いというのは分かるかと思います。
- 寺院の維持費
- 仏具の購入
- 服(袈裟や法衣)
などは、最低限必要とします。
そして、
大きな利益が出るのか・・・?
御布施に関しては「非課税」なのは有名ですが、利益が大きい・収入が多い・儲かるという時代はとっくに過ぎているといえます。
確かに潤ってる時代はあったにしろ、現在では宗教者が溢れている・余っている状態でもあります。
どうしても、檀家さんの数に偏りがありますし、檀家さんが多くても月参りなど定期的なお参りを希望していない方も多く、安定した収入を得れないという声が多くあります。
そして宗教に対する価値観の低下から「檀家離れ」が深刻化しているのも事実です。
葬儀と四十九日法要で一旦付き合いが途切れるという声も非常に多いです。
本来であれば、生前に仏法の教えを説くというのが役目なのですが、現在では
お葬式のためのお寺さん
という考えになっており、お葬式以外の法要で収入を得るというのは非常に難しい状態になっています。
実際、副業をしている寺院も多く
- 墓地や永代供養墓
- 介護施設
- 幼稚園経営
- 大学の教授
- 不動産
- 他寺院のお手伝い(葬儀の脇僧)
などを行っているお寺さんも多かったりし、副業をしなきゃ食べて行けないという声も多々あります。逆にそちらの声の方が多いように感じます。。。
また、佛教大学や高野山大学ではお寺さんが住職と学長や教授を兼任していたりが多いです。
大阪府貝塚市の釘無堂(くぎなしどう)として有名で国宝の「考恩寺(こうおんじ)」の住職も佛教大学の元学長さんであったりします。
大学の教授などは、副業というより仏教に興味がある・広めていきたいという方を育成するという考えが強いです。
お寺さんが儲からないというのは、死後の世界や宗教に対しての価値観や考えが、昔に比べて薄くなっているということが背景にあるといえます。確かに儲かっている・稼いでいる宗教者はいたとしてもそれは一部で、儲かっていない所の方が多いのが現状です。
お寺さん=儲かっているというイメージは、葬儀など生や死後に関して数十分お経を読むだけで何十万もかかる、戒名料が100万円というようなことから、徐々にそういうイメージになってきたのではないかと感じます。
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「死後の世界」や「霊感」など、目に見えない部分でお金を取る・商売をするということに「詐欺だ」という意見がメディアや書籍でも取らえられていたりしますので、その影響も大きいといえます。
「葬儀」に関しても同じような意見があったり、書籍もあったりします。
結論をいうと、努力をせずに儲かっている寺院はごく一部で、何かしら工夫をしないと食べていけない世界になっています。かといって、副業が儲かるから本業をおろそかにすると、悪い評判が出回ったりしますので、非常に難しい職業であるといえます。経営が厳しいというお寺さんの方が多いように感じます。
昨今では、寺院紹介ブローカーが普及しています。
ブローカーとは、仕事を紹介・仲介することでバックマージンを得るビジネスでアフィリエイトのような感じです。
例えば、寺院を紹介しますという業者があり、葬儀の御布施が
- 火葬場のみの読経「6万円」
- 一日葬(葬儀告別式のみ)「10万円」
- 通夜式・告別式両日「18万円」
とあったとしたら、その御布施の内30%~50%が元締めに入るということになります。
一部では「ありえない」「腹が立つ」という声もありますが、「それでも助かる」という宗教者も多く、いかにお寺さん全体が「坊主丸儲け」では無い現状が目に見えて分かります。
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宗教者には
- 後継ぎだから仕方なく
- 仏教など宗教が大好きだから広めたい
という考えで職に付いている方がほとんどで、「儲かってお金持ちになれるから」という理由で宗教従事者になるという人はいないのではないでしょうか?
後継ぎでは寺院などの施設や仏具も揃っていますので、資本的には恵まれていますが、一般の方が宗教従事者を目指すとなると、儲からないと分かっていますので余程興味があり好きでないと就けない職業になります。
後継ぎではない一般の宗教者が、その仕事に骨をうずめるには、
- 雇われ僧(従業員)
- ごく稀に住職に就任する場合がある
- 独立する
というケースがあり、独立して宗教法人にするとなると、気持ち的にも資本的にも難しいです。
仏教大学や高野山大学を卒業し、その付近の寺院で修行・就職を経て独立をする方は、立派な寺院を何千万・何億と費用を費やすことはできず、一軒家を改装などしているケースが多く見られます。
しかし、好きでその職についているため、非常にアグレッシブでサービスも良く、ためになる話や熱いお話をしてくれたりもしますので、個人的には大好きであったりします。(※個人的な意見で、後継ぎが悪いと言っている訳ではありません。
寺院が更に衰退し無くなれば、葬儀社も連鎖反応で同じような道を辿るといえます。現状では一部を除き、寺院は葬儀のため、葬儀社は宗教者がいるからこそ成り立っている商売だと思っています。
葬儀社から宗教色を一切取り払ったら、残るのは花祭壇の見た目だけとなります。宗教者がいなければ通夜式・葬儀告別式は不要となり直葬になります。直葬なら花祭壇たる大げさなものも不要になり、花屋さんも更に衰退していきます。
- 霊柩車・寝台車業者
- 納棺師
- 棺業者
- ドライアイス業者
だけが生き残る世界になってしまいます。
しかし、先祖や亡くなった人をを供養してあげたいという気持ちは変わらないと思いますので、葬儀にそこまでお金をかけなくても「やり方はある」ということを広めていければと思います。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という方がいらっしゃれば、儲かっているお坊さんはごく一部ということを知っておきましょう。
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」とは、お坊さんが憎くなると、着用している袈裟まで憎くなるということから、物や人を嫌いになるとその周りのものまで嫌いになるということをいいます。
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まとめ
「坊主丸儲け」という言葉は、今では成り立たないことわざになり「坊主は儲からない」が現状です。
そして、檀家さんの獲得も競争が激しいことから、ボーっとしていたら誰も近寄って来ません。
職業柄、宗教者を尊敬していますし、宗教ありきの葬儀という現状も十分承知です。宗教者や葬儀の必要性を決めるのはお客様ですが、少しでも故人様を供養したいというお気持ちがあれば、
そこまでお金をかけず宗教者を呼んで葬儀を行える
というのを広める事が出来たら良いなと思っております。
公開日 2023年10月7日|最終更新日 2024年8月14日