【2024年12月更新】
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葬儀の知識

死後の世界はどんな所?存在する?しない?|天国?地獄?浄土?

一級葬祭ディレクター/中原優仁【記事監修】厚生労働省認定
一級葬祭ディレクター/中原優仁

はじめに

人が亡くなったあとどうなるのか?

また、

  • 悪いことをしたら地獄に落ちる
  • 良い行いをすれば天国へいける

というイメージをお持ちだと思います。

こちらでは仏教の死後の世界の考え方や死後の世界が存在するのか?しないのか?についてご紹介いたします。

この世には六つの世界があるとされる

仏教では現世と死後の世界の二つがあるのではなく、「六道」という六つの世界を輪廻(ループ)するとされています。一般的には「ろくどう」と呼ばれており「りくどう」と言われることもあります。

良いとされる世界から順番に

  1. 「天道」=てんどう
  2. 「人間道」=にんげんどう
  3. 「修羅道」=しゅらどう
  4. 「畜生道」=ちくしょうどう
  5. 「餓鬼道」=がきどう
  6. 「地獄道」=じごくどう

となります。上から三つを「三善趣(三善道)」といい比較的楽しみがある世界で、下から三つを「三悪趣(三悪道)」と呼ばれ苦しみが多い世界になります。

天道が一番良い世界で地獄道が最もつらい世界となり、現世での行いの良し悪しによりいずれかの世界へ「生まれ変わる→死ぬ→生まれ変わる」を繰り返し、六道をさまよい続けるという考えになります。こちらを仏教の用語で、輪廻転生(りんねてんせい)や六道輪廻(ろくどうりんね)といいます。

六道のそれぞれについて解説してみます。

天道(天上界)

六つの世界の中で楽しみや喜び・快楽があり一番良い世界となりますが、悲しみや悩みそして寿命もあります。

また、死を迎えるときは

  1. 衣服が汚れ
  2. 頭上の花飾りが枯れ
  3. 体液が滲出し
  4. 体が腐敗し始め
  5. 生きることが辛くなる

など、「天人五衰(てんにんごすい)」という五つの苦しみが現れるといわれています。

天道=浄土ではありません。

人間道(人間界)

現在の自分たちの世界で、楽しみもあれば苦しみや悲しみ・悩みもある世界です。

お釈迦様の教えを聞き、仏法を受け入れ悟りを開くことができれば六道輪廻から解放されお浄土へと生まれ変わることができるのですが、人間が最も浄土に行くための近道だと解釈しています。

修羅道(修羅界)

喧嘩や戦い、争いや戦争が絶え間なく行われている世界になります。

修羅場

「浮気や不倫がバレて修羅場に・・・」「大喧嘩で修羅場に・・・」

など、「修羅場(しゅらば)」という言葉は争いが激しい場面という意味になります。

畜生道(畜生界)

人間以外の哺乳類や鳥類・爬虫類や昆虫などの世界になります。

動物の世界では弱肉強食で、生きるためには弱いものを捕食しなければならなく、強いものからはいつ食い殺されるか分からない・・・という恐怖と不安が常にある世界です。

また、牛や羊などの家畜や、大切に飼われている犬や猫などのペットも畜生道の世界になります。

餓鬼道(餓鬼界)

常に飢えと渇きに苦しむ世界になります。

食べ物や飲み物は火に変わり喉を通らなく、ガリガリに痩せ細りお腹だけが膨れ上がり見苦しい身体で悲惨な姿になってしまう世界です。

子供やお子様のことを悪い言い方で「ガキ」と言ったりもしますが、子供は食べ物や飲み物をむさぼるように食すことから用いられるようになったといわれています。

また、お盆前に行われる「施餓鬼会(施餓鬼法要)」=「せがきえ(せがきほうよう)」は餓鬼道に生まれ変わり、飢えと渇きに苦しむ生物や弔う者もいない霊魂に対して、飲食物をお供えし供養するための法要となります。

地獄道(地獄界)

六道の中で最も苦しみの多い世界です。

子供の頃に親から「悪さをすれば地獄に落ちるよ」の地獄になり、現世での行いが大変悪かった者が生まれ変わるとされています。

キリスト教においても地獄の世界があり、刑罰を受ける場所や神様の怒りに服する場所などとされており苦しい世界になります。

芥川龍之介の著書である「蜘蛛の糸」という作品があります。

簡単なあらすじは、

お釈迦様がある日、蓮池を散歩中に池の奥の地獄の世界を覗きました。大勢の悪人の中に「犍陀多(カンダタ)」という者がおり、生前に人を殺したり、放火をしたり、ものを盗んだりする泥棒であったとされていましたが、一度だけ善い行いをしたことがあるとされています。それは小さな蜘蛛を殺めようとしましたが、蜘蛛を思いやり命を助けました。その善行を思い出しカンダタを地獄の世界から救ってあげようと思い、蜘蛛の糸を地獄に向かって下ろしました。その糸を辿り上っている最中に下を眺めると他の悪人や罪人も登ってきており、蜘蛛の糸が切れてしまうと思い、罪人に向かって「この蜘蛛の糸は俺のものだ!下りろ!」と叫んだところ糸が切れてしまい、結局地獄へ落ちてしまったそうです。それを見てお釈迦さまは悲しい表情で蓮池を立ち去ったというお話です。

お釈迦さまは生前に悪さをすれば地獄に落とすというより、悪人でも立ち直って良い所に往生できるようにチャンスを与えてくれるという存在になります。

自分だけ助かろうとせず、皆一緒に登ろうという考えであれば地獄へ戻ることは無かったでしょう。。。

天道と浄土の違いは?

天道は何の不自由もない世界なので「天道=浄土」だと感じますが全く異なる世界です。

天道は人々が理想とする世界なのですが悲しみ・悩み・寿命はあるという世界です。しかし浄土の世界はそれらも一切無く、楽しみと喜びのみが満ちていて寿命もないとされている世界です。

しかし浄土に生まれ変わるのはほぼ不可能だといえます。

極楽浄土へ往生するには条件がたくさんあり、そう簡単ではないとされていて仏法の教えを聞き入れ、それを実行し108あるとされる煩悩を全て消し去ることで得られる「悟りを開いた者」でしか行けない世界なので、仏教のお寺さんでもそう簡単には行けない世界になります。

浄土に生まれ変わりたいと思う方は大半だと思いますが、そう思った時点で欲深い考えになりますので六道のどこかの世界に生まれ変わってしまいます。

天国と浄土の違い

「天国」はキリスト教での考え方で神様の住む世界や神様を信仰する者が生まれ変わる世界となり、何の苦労もせず快楽で理想的な世界になります。世界観は似ていますが浄土とは全くの別世界です。

浄土へと行く方法や煩悩を消す方法は?

まずは人間道に生まれ変わることが最低条件ではないでしょうか。天道は理想の世界ではありますが煩悩をなくすことは不可能な世界です。畜生道は動物の世界ですが動物は本能で生きています。その他も煩悩を消すのにはとうてい厳しい世界となります。

・煩悩=欲望や欲求
・理性=物事を考え判断できる能力

人間は煩悩もありますが理性もあります。この世界で厳しい修行(欲をなくし功徳を積む)を行い、悟りを開くための唯一の道であると解釈しています。

人間道に生まれ変わり悟りを開くことができなければ六道を輪廻し続けることとなります。

六道の世界のどこに生まれ変わるのかは誰が決めるのか?

六道の世界のどこに生まれ変わるのか?については閻魔大王様だといわれています。しかしその人の生前の行いによって閻魔様が判断・裁判するという考えです。

結局は閻魔様が決めるけど、六道のどこに生まれ変わるかは自分の行いによって決まります。

浄土真宗では少し違う?

浄土真宗を信仰している者は亡くなると阿弥陀如来様の力によって誰でも極楽浄土へと還ることができるという考えになります。

しかし、六道輪廻の考え方は否定しておらず、その理由として六道輪廻の世界から抜け出せず苦しみ続けている人たちに助けの手を差し伸べるため阿弥陀如来様が極楽浄土という世界を作られたという話があります。

浄土真宗では六道を輪廻するという概念はないけど否定はしていませんので矛盾だと感じると思いますが、阿弥陀さんに感謝をし助けを求めればお浄土へと生まれ変われるという考えの宗派なのです。

日本全国の仏教徒で一番多いのは浄土真宗なので、こちらの理由も人気の一つなんだと感じます。

死後の世界は存在するのか?しないのか?

死後の世界の存在を信じる人と神様・仏様が存在を信じる人はある程度比例はすると思うのですが、無神論者の割合が日本では世界2位のようです。そのことから目に見えないものを否定する人が日本人には多いと予想できます。信じている人の中では死後の世界は存在しいます。

結論をいうと信じるか信じないかです。

しかし「証明できていない=ない」「証明できている=ある」という考えが正しいのであれば死後の世界が存在する可能性は十分にあります。また、不可能だといわれている脳死からの回復が実現すれば話は変わってくるかもしれません。死からの復活がない限り存在することを証明できません。

死後の世界がない場合はどんな世界?

何回かお客様から聞かれたことがあるのですが「仏教では六道や浄土」「キリスト教では天国」というお話もし、死後の世界の存在を信じない方の死後の世界は「無の世界」だと思っています。

無の世界も人によってとらえ方が異なると思いますが、自分の考えでは「睡眠に入り夢を見るまでの間」の無の状態が一生続くのかなと感じています。

死後の世界まとめ

簡単に死後の生まれ変わる世界「六道」についてご紹介させて頂きました。

よほど仏教に興味が無い限り、死後は天国か地獄の二種類だけのイメージがあります。

仏教は大変奥が深く、どう捉えるかも人によって違ってまいります。

また、死後の世界があるか?ないか?は根拠が無く誰にも分からないというのが現実です。

死後の世界を経験し、現世に戻ってきたという方は聞いたことがありません。

死後の世界は存在するのか?よりも信じるか信じないかとなります。

しかし、「天国に行ける」「地獄に落ちる」という言葉は良く聞く話で、存在するのかは分かりませんが日本全国においても浸透している言葉・考えになります。

作り話だとすれば、生前に思いやりがあり世の中のために良いことを行えば報われるという考えから、六道や天国・地獄の世界の考え方が生まれたのかもしれません。

法話などで仏教について説かれている寺院もありますので、新型コロナウィルス感染症が終息し、機会があれば参加してみてはいかがでしょうか?

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