好きだった曲・ゆかりのある曲で送り出す音楽葬について
音楽葬(おんがくそう)とは昨今より人気のある葬儀形式で、主に無宗教形式やお別れ会・お偲びの会などにおいて取り入れるケースが多かったりします。
著名人の葬儀や葬儀後のお別れ会において音楽葬という形式で葬儀を行ったというニュースが流れていたりもします。
ZARDの坂井泉水さんは2007年に青山葬儀場にて音楽葬を行っています。
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2020年に亡くなられた女優の岡江久美子さんも葬儀を終えた1年後に音楽葬を行っています。
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などなど、芸能人や著名人が音楽葬で行うケースが増えてきており、時代の流れとともに葬儀の自由化や新しいカタチが一般の方達にもどんどんと普及しつつあります。
音楽葬ってどんなお葬式?
音楽葬は故人様が好きだった曲やゆかりのある曲、または遺族が音楽を奏でた演出で送り出してあげたいという場合に行う葬儀形式です。
昨今より増加傾向にあり、故人様も遺族も安らかに癒される空間の中で葬儀を行えることが特徴です。
音楽葬と一般的な葬儀の違い
一般的な葬儀ではお通夜と葬儀告別式にお坊さんなどの宗教者を呼びますが、音楽葬では宗教者を呼ばない場合に行うケースが多かったりします。
または、お通夜式・葬儀告別式を一般的な葬儀形式で行い、後日お別れ会や偲ぶ会などを開催する際に音楽葬形式で行う場合も多いです。
芸能人や著名人などの大きな葬儀の場合のみに感じますが実はそうではなく、規模は関係なく一般的な家族葬においても取り入れるケースもありますし誰でも行うことが可能です。
音楽はどう流す?
生演奏もしくはCDなどで流す方法があります。
生演奏ではピアノやバイオリンシンセサイザー・エレクトーンなど楽器はさまざまですが、音楽家の方が演奏し場の雰囲気を盛り立てます。また、歌い手の方も参加するケースもあります。有名人の音楽葬では音楽業界の著名人が来て演奏や歌唱しますが、一般的な葬儀の場合は有名な音楽家では無いがその道のプロが来て演奏することが多いです。 |
CDなどで流す場合ではお客様もしくは葬儀社が曲を用意し、音楽を流しながら葬儀の進行します。 |
生演奏は臨場感あふれ、非常に感動的な葬儀になりますが費用は遺族の実費となるので、そこだけがデメリットといえます。
CDなどで流す場合は費用を大幅に抑えることができますが、臨場感という面では生演奏にはかないません。しかし、故人の好きだった曲やゆかりのある曲を流しますので感動的な演出は可能になります。
音楽葬の具体的な方法・流れについて
音楽葬はさまざまな場所で行えるのですが、葬儀の形式によってやり方や流れが少し異なったりします。ただ、遺族の考えや葬儀社の考えによって自由に流れを決めることができ、音楽葬を行う方法自体に決まりや定義などはありませんので、故人様のおもいや遺族の考え・葬儀社の提案などに合わせてベストなかたちで行うことがよいでしょう。
無宗教形式の場合
宗教者などを呼ばず無宗教形式の葬儀で行うのですが、開式前・葬儀中に音楽を流し故人を偲びます。
開式前に音楽を流し、開式すると音量を下げ音楽を流します。 |
喪主の挨拶・閉式・お別れ(お花むけ) |
火葬場へと出棺 |
お別れ会などでは大規模の葬儀になる場合、葬儀自体は家族葬でひっそりと行い後日会館を借りて開催するため、お別れや出棺などは既に終わっており省略されます。
仏教形式の場合
開式前に音楽を流し、開式後は音楽を留めます。 |
お坊さんが読経を開始し、弔電や弔辞などがあれば読経を一旦止め音楽の流れる中弔電を拝読します。 |
弔電などを拝読後に読経が始まり、音楽を止め焼香の案内をします。(※寺院が読経している間は音楽を一切流しません。) |
焼香と読経が終わり導師が退席後に音楽を再開し喪主の挨拶となります。 |
喪主の挨拶が終わると閉式し、故人様とのお別れになります。 |
お別れが終わると音楽の流れる中、火葬場へ向けて出棺となります。 |
お坊さんが来る仏式の場合は音楽よりお経がメインになるので音楽葬か?といわれればそうでない気はしますが、やり方はさまざまですのでお客様の考えでよいといえます。
自宅で音楽葬は可能?
自宅でも行えますが、生演奏形式は難しいケースもあります。
- 自宅の広さがある程度必要
- 近所の方に事前に相談が必要
などの問題点があります。
生演奏の場合、機材を置くスペースが必要になります。楽器によってはそこまでスペースを要しませんがある程度のスペースを確保できなければなりません。 |
生演奏は楽器によって音量の調整が難しいケースもあります。デジタルの楽器であれば音量調節はできるのですが、バイオリンやサックスなど音量調節に限度がある場合もあります。そうなると近所からの苦情に繋がる可能性もありますので注意が必要です。 |
生演奏での音楽葬は葬儀会館などで行うケースが多く、自宅であればCDなど幅を取らず音量の調整がきく方法がよいといえます。
選曲はどうすればいい?
選曲は主に故人様の好きだった曲(よく聞いていた曲)やゆかりのある曲を流します。生演奏の場合はリクエストしますが、CDで流す場合はCDを用意するか葬儀社に準備してもらわないといけません。
注意点としては探しても出て来ない場合や葬儀社でも準備が難しい曲になると流せません。有名な曲はダウンロードもできるのですが、少しマイナーな曲でしたらお店にもないケースがあったりします。
著作権は大丈夫?
基本的には葬儀社がJASRACと契約もしくは、音楽葬の当日に使用した曲の著作権料を支払うものとなります。カラオケ屋さんは当然JASRACと契約しています。

営利目的での使用は著作権料が発生する。また、お客様や故人のオリジナル曲であり、著作権が発生しない楽曲に関しては費用はかからない。
とのことで、葬儀会館であれ自宅であれ有名曲を生演奏するのであれば費用は発生します。葬儀社が演奏者を手配しお客様に請求となりますので営利目的なのでこれは当然です。CDを流すのであれば空き時間のシーンとした雰囲気を和らげるためその間に流し続けるのであれば1か月契約などで支払っていただきたいとのこと。
【生演奏の場合】 生演奏の場合は1曲5分で250円であるが、会館の平米数によってや参列者の人数などによって異なる。 |
【CDの場合】 CDやレコードを流す場合は「~500㎡で年間6,600円」「~1,000㎡で年間11,000円」など平米数によって変わる部分や、開式前・お別れ時でループ再生のみと、弔電や弔辞など部分部分で使用する場合は別途必要とのこと。 |
著作権にはグレーゾーンがあるように見受け、例えばCDを葬儀社が用意し流すのであれば費用は発生しますが「持ち込みでお客様が勝手に流すていであればどうなのか?」の問いに関しては契約をしていただきたい。
「自宅でお客様の私物を流すのは?」に関してはあやふやな答えが返ってきました。施行は葬儀社が行いますが勝手に流す分にはお客様の勝手です。しかしJASRACからするとつかれると嫌な部分だとは思いますがグレーゾーンなのでしょう。
また、生演奏に関して「知り合いや親戚が金銭を一切受け取らず気持ちで演奏する場合は?」に関しても同じような答えでした。
音楽葬は葬儀社がOKを出したのならお客様に責任はありませんので心配はありません。
しかし、大手はJASRACと契約しているケースは多いのですが、中小零細企業では無断で流し放題という葬儀社も多いと思います。音楽葬や合間にCDの音源を何気なしに流している葬儀社さんは契約をしておくとよいかもしれません。
JASRACが葬儀会館などに見に来ることは滅多にないとのことでバレないケースが多いと見受けられますが、もし発覚してしまうとさかのぼっての請求があるようです。
また、著作権の費用に関しては交渉である程度融通がきくように見受けられましたので、そんなに莫大な費用はかからないように感じました。
JASRAC東京本部:03-3481-2121
JASRAC大阪支部:06-6222-8261
JASRACHP:https://www.jasrac.or.jp/
上記にアクセスすると親切に教えてくれますので、問い合わせてみるのがオススメです。
著作権は葬儀を施行する葬儀社側の問題が大半なので、音楽葬を考えているお客様に関しては心配ありません。
音楽葬の費用について
演奏者の費用相場はさまざまです。
演奏時間や演奏者の人数によって異なりますが、一般的には一人5万円程度(1日)が多いように感じます。お通夜と葬儀に呼ぶのであれば2倍になります。
葬儀を終えお別れ会形式で音楽葬を行うのであれば別ですが、無宗教の場合でお通夜・葬儀を音楽葬で行うのであれば仏式で行うのと比べると同じくらい、もしくは費用が安く収まるケースもあります。
お坊さんへの御布施金額の相場は15万円~30万円程度となりますので比べると同じくらいになります。しかし、あくまで演奏家に対しての費用であり、プラス葬儀費用が必要となります。
葬儀総額費用に関しては葬儀社に相見積もりを取ることが絶対にオススメです。
音楽葬の申し込みについて
当社は大阪府岸和田市の葬儀社ですが、自宅での音楽葬については大阪府全域に対応しております。音楽葬が気になる方、検討している方はお気軽にご相談下さい。
※お電話での対応は24時間365日受付しています。
0120-418-709
音楽葬のまとめ
こちらでは音楽葬という形式で故人を送り出したい、偲びたいという方に向けて詳しく解説いたしました。
昨今では無宗教で葬儀を行うケースが増え、その中でも音楽葬は故人様も遺族も安らかに落ち着いた雰囲気で過ごせることから需要は増えていくんじゃないかと予想しています。
形式は生演奏もしくはCDの音源を利用する方法があり、生演奏は臨場感あふれ感動的な演出を作ることができます。CDにおいても臨場感は劣るものの、好きだった曲、思い入れのある曲を流すため感動できる空間を演出できます。
著作権については基本的にJASRACに著作権料を支払う、もしくは年間契約などを結ぶ必要があり葬儀社側としては無断で楽曲を流すことは禁じられています。
お客様が自ら流す分には問題ないというかグレーゾーンであるため心配はないといえますが、JASRACと契約を結んでいない葬儀社は注意が必要です。
音楽葬の費用に関しては演奏家への費用+葬儀費用がかかりますので、葬儀社に見積もりをし予算に合った葬儀社選びが大切だといえます。
![]() 一級葬祭ディレクター/中原優仁 |