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葬儀の知識

棺桶と柩の違いや種類・値段やサイズは?体が大きい方は納棺できるのか?

はじめに

事前相談や葬儀の打ち合わせなどにおいて、お客様より稀に

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身長が2メートルでも棺に身体が入りますか?

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体重が130kgあるけど棺に身体が入るのか心配です・・・。

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お棺には「棺」と「柩」両方記すことがありますが違いは何ですか?

などなどの質問があったりします。

こちらでは、「棺桶」と「棺」「柩」の違いや種類・値段について、合わせて身体が大きい方は棺に納まるのか?について詳しく解説いたします。

棺桶・棺・棺の違いについて

「棺桶」の読み方は「かんおけ」

「棺」の読み方は「かん」「ひつぎ」です

「柩」の読み方は「きゅう」「ひつぎ」です

「ひつぎ」には「棺」と「柩」という漢字のどちらかで記述されますが、「棺」はご遺体が納められていない状態のもの、「柩」はご遺体が納められているものを指しているといわれています。

ご遺体をお棺に納めて火葬場(斎場)まで搬送する自動車の事を「霊柩車(れいきゅうしゃ)」といいますよね。

しかし、さまざまな説があるようで、それなら何故霊柩車で火葬場へと向けて出発することを「出棺(しゅっかん)」というのか?また、自宅で納棺され葬儀会館へと入場することを「入棺(にゅうかん)」と言ったりします。

世間一般的にはご遺体が納められているひつぎを「柩」、空の状態は「棺」と記述しますが、矛盾もあるようで確実な説は今の所分からないようです。

棺桶

また「棺桶(かんおけ)」と「棺」は同じ意味となりますが、棺桶の「桶」という文字が気になりますよね。

それは鎌倉時代より、円形の樽のような形状をした「座棺(ざかん)」が主流となり土葬用の棺で、座棺はご遺体を寝かせて納めるのではなく、座らせるように納めることからそう呼ばれています。

桶と樽は非常に似ており、同じような形をしていることから「棺桶」と呼ばれるようになったようです。

私たち葬儀社に携わる者は「かんおけ」や「お棺(おかん)」という呼び方はあまりせず、「ひつぎ」「おひつぎ」という言い方をしていたりします。

お棺の種類について

石棺

縄文時代や弥生時代・古墳時代など、古代の日本では石で出来た「石棺(せっかん)」が使用されていましたが、現在の日本の葬儀では「木棺(もっかん)」「布張棺(ぬのばりかん)」主流で、サイズの規格はある程度どのメーカーも同じなのですが、種類やデザインはさまざまです。

木棺(もっかん)

平棺

「平棺(ひらかん)」「並棺(なみかん)」などと呼ばれるシンプルな木棺で、合板に桐などの天然木を薄くスライスしたものを張り付けたもの、洋紙や板紙に木目調をプリントし張り付けたものがあります。一般的で良く使用されるお棺になります。


R棺

平棺よりも少し豪華な作りになっていて、蓋に丸みを帯びていることから「R棺」「ドーム棺」と呼ばれます。また、本体と蓋との組み合わせを印籠に見立てた「インロー棺」というものもあります。


彫刻棺

お棺に彫刻を施したもので、棺のどの面に彫刻があるかによって呼び方が変わります。こちらは上のものが棺の三面に彫刻が施されていることから「三面彫刻棺」、下が「二面彫刻棺」になり、この他に棺全体の五面に彫刻された棺を「五面彫刻棺」と呼ばれこれらは「高級棺」と呼ばれたりします。

一般的に出回っている彫刻棺は機械で彫刻していますが、手彫りだと値段も跳ね上がったりします。また、合板では無く、無垢の木材で桐・マキ・モミ・ヒノキなどの棺は非常に高級な「最高級棺」になります。


布張棺

布張棺

合板のお棺に布を張り付けた「布張山型棺」になり、こちらも平棺と同じくらい一般的に良く使用される棺になります。布張棺にもR型やドーム型があります。布の色やデザインにも、さまざまなものがあります。


高級刺繍棺

布張棺に刺繍が施されたもので「高級刺繍棺」と呼ばれ、刺繡には「胡蝶蘭」「御所車」「桜」「鳳凰」など、さまざまなデザインがあります。高級刺繍棺と呼ばれますが、木棺の高級棺に比べると安価であったりします。

また、岸和田市の名物だんじり祭りの様子が刺繍された「だんじり棺」たる棺桶もあったりします。


キリスト棺

キリスト教の葬儀で使用する棺になりますが、あまりに見た目がよろしくないため一般的な木棺や布張棺を使用することの方が多いです。海外では六角形のものやキャスケット型が使用されており、日本向けに作られた独特のデザインだといえます。


塗り棺

塗り棺

塗りのお棺で蒔絵(まきえ)の金箔絵柄が施された美しいもので、高級なお棺になります。


子供用棺

子供用棺

お棺には1尺(30cm)~5尺(150cm)などの小さいサイズのものがあり、熊さん柄やメルヘンチックなデザインが施されているお棺まであったりします。

海外の棺桶は?

海外棺

全てでは無いですが、アメリカやヨーロッパ・西洋・アジアなどではこのような棺が使用されています。

実際に何度か東南アジアや中国・台湾・香港・ヨーロッパなど海外で亡くなられた日本人の方を関西空港へお迎えに行き、ご遺体を日本の棺桶に移し替える仕事をしましたが、上記の画像そのもののお棺で搬送されてきました。

形や色・デザインは装飾が豪華で非常に重たく、棺桶の長さはそこまで長く無いですが、横幅と高さが結構あります。

左側は「ドラキュラ」が出てきそうな形をしています。右側は「Casket(キャスケット)」と呼ばれる棺で、キャスケットには「宝石や貴重品を入れる箱」という意味があり、高級感があり大変立派なお棺になります。

アメリカの「コストコ」では10万円~30万円で棺桶が売られている所もあるみたいです。

海外のお棺は日本の葬儀で使用できるのか?

これらは日本では使用されない・できないお棺となり、何故かというとサイズが火葬炉に合わないケースが多く、日本の火葬炉では棺のサイズが最大〇〇cmまでと定められている所が多いので仕方がありません。

また海外の棺桶は土葬用に頑丈に作られているため火葬に要する時間にも多きな影響があるからだといえます。

お棺についてご紹介させて頂きましたが、直葬や火葬式・一般的な家族葬プランでは「平棺」や「布張山型棺」が多く使用され、高級棺はオプションであったりランクが上のプランを選択した場合に付属していたりします。お棺にこだわりたい方は葬儀社に相談してみるとよいでしょう。

棺桶の種類は人によって、

  • 木棺は仰々しいから布棺にして欲しい
  • 昔ながらの木棺が良い
  • 花が好きだったから花柄が良い
  • カワイイ棺桶が良い
  • 特にこだわらない

などの声が多く好みにもよりますが、昨今では見た目の可愛さやオシャレというイメージから布棺の需要が非常に多いです。火葬場に入場してくるお棺を見ていても布棺が圧倒的に多かったりします。

釘打ちの儀式をご存じですか?

現在ではお棺の蓋をクギで固定する「釘打ち(くぎうち)」などを行う地域もほとんど無く、どのお棺にも窓が付いており、いつでも拝顔できるというのが一般的です。

釘打ちの儀式

釘打ちの儀式とは、故人様が納められたお柩の周りに親戚が石や金槌でクギを打ち付けていく儀式になります。釘打ちを行う理由としては、

  • 病気や穢れを避ける
  • 臭いを避ける
  • 死者の霊魂にこの世とあの世の違いを悟らせる

など、さまざまないわれがありますが、時代とともにこういった意識が薄れてきたり、お棺の密封性や性能が向上してきたため、釘打ちの儀式が徐々に無くなったとされます。現在においても釘打ちを風習として行っている地域は一部あるようです。

棺桶の値段について

葬儀社では基本的に棺だけの販売を行っていませんが、中には自力で葬儀をしようと思っている方もいるかもしれません。

  • セルフ葬儀
  • DIY葬儀
  • 自力葬儀

と呼ばれるお葬式ですが、実際に全て自分たちで行ったというのは聞いたことがありません。

昨今では費用が安い葬儀社がありますので手間や仕入れを考えれば、葬儀屋さんに依頼する場合とそこまで変わらないんじゃないかなと感じます。

棺の値段は「楽天市場」や「Amazon」で調べてみると、平棺や布張り山型棺で15,000円~25,000円程度、刺繍棺や彫刻棺で50,000円程度で販売されています。送料を含めても案外安いなと感じました。

日本で流通している棺桶の90%以上は中国からの輸入製品になり、国産のものはあまり見かけません。

国産の棺はあまり出回っていないというより、中国製品のコストパフォーマンスが高く、作成する業者さんが劇的に減少したといえます。

大阪においても棺を一から作成している方を知っていますが、「中国製品にはコストパフォーマンスが敵わない・・・。」と言っております。

日本の宮大工さんや彫師さんが国産の木材を使用し、本気で彫刻の棺桶を作成するととんでもない作品が出来上がると思いますし、値段もとんでもないことになると思います。

棺のサイズについて

日本で使用されるお棺はある程度規格が決まっており、火葬炉に入るサイズかつ燃えやすい構造になっています。

見た目も大切ですが、サイズ選びが重要であったりします。

棺のサイズにはS・M・L・LLがあり、

  • 普通サイズの「並棺」
  • 並棺より少し大きい「長尺棺」
  • 更に大きい「大棺」
  • 一番大きい「特大棺」

と呼ばれ、それぞれ棺の長さや横幅・高さが変わって来ます。

長さが180cm~200cm、横幅が45cm~65cm、高さが35cm~50cm程度となり、並サイズと特大では数字的にさほど変わらないように見えますが、実際見比べると大きさの違いが分かります。

どれくらいの背丈や体型までなら納まるのか?

背丈

ほとんどの場合は、並棺もしくは長尺棺で納まるのですが、恰幅が良く体重が100kgある方や背が190cmの方などは大棺や特大棺に納めることになります。

  • 並棺・・・・・身長~175cm
  • 長尺棺・・・・身長~180cm
  • 大棺・・・・・身長~190cm
  • 特大棺・・・・身長190cm以上

棺の厚みも数センチありますので、身長プラス10cm~15cmを目安にし、背丈に合わせて少し大きめの棺を選択します。背丈がそこまで大きくなく、恰幅がいい方は棺の長さではなく横幅に合わせます。

身長190cmくらいで普通体型であれば特大棺にスムーズに納まりますが、それ以上の背丈になってくると足を少し曲げて納めたり、両手を真下に伸ばしたりし納棺を行います。

お相撲さんなど、あきらかに棺に納める事が出来ない場合は?

  • サラシや木綿・シーツなどを巻き付け、横幅を極力縮小する。
  • 棺を特注する

という方法があります。

斎場の火葬炉の幅には限度があり、それ以上になると火葬時間に大幅な遅れが出たりなどが起こり得ます。棺に納めるということであれば、棺を特注するのが確実ですが時間がかかったりしますが、納棺は出来ても火葬炉のサイズを超えていたら、結局ご遺体を取り出しての火葬になります。

プロレスラーの故・ジャイアント馬場さんの身長は208cmあったとされており、お棺には納める事が出来ずシーツにくるんでの火葬になったみたいですが、問題はなかったようなので、どれだけ背丈や体型が大きくとも何とかなるようです。

「身体が大きく火葬が出来る斎場が無くてたらい回しに・・・」というニュースは見たことがありませんので心配はいらないということです。

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インターネットで遺体を切断したり、バラバラにしたりすると書いていて、恐怖を感じました・・・。

こちらはデマになります。

遺体(死体)を切断したりすると「死体損壊罪」に問われますので、そんな事はどの葬儀社もしません。(※一部グロテスクな表現があり、誠に申し訳ございません。)

死体遺棄罪を含む死体損壊等罪とは、死体・遺骨・遺髪・棺に納めてある物を損壊・遺棄・領得をした者に成立する犯罪のことです。このうち、死体を遺棄する犯罪が死体遺棄罪です。

死体遺棄罪を含む死体損壊等罪は、刑法190条に規定されています。その刑事罰は、3年以下の懲役です。

引用元:横山ロード法律事務所

URL:https://www.yokohama-roadlaw.com/glossary/cat/post_416.html

こちらで弁護士さんが詳しく書いております。

噂では大昔、そのようなことを行っていたと聞いたことはありますが、実際の所は分かりません。

腰が曲がってしまったお年寄り

年寄り

長年寝たきりであったりすると顔と腰が反対方向に曲がり、骨や関節がその形状に固定されてしまうケースも多々あります。中には手足が曲がってしまうお年寄りもいらっしゃいます。

こういったケースでは納棺師が最善を尽くしてくれるのですが、どうしても真っすぐにならない場合もあります。そういった場合は、棺の扉に合わせてお顔を真っすぐに向けて安置や納棺を行います。手足は違う方向を向いていたりしますが、布団を被せるため見えません。

お棺のサイズ選びは葬儀社がご遺体の状態を確認し選びますので心配はありません。しかし、火葬場で使用できるサイズの上限は決まっていますので、極端に恰幅がよい方は少し強引にお棺に納めるか、お棺には納めずに火葬を行うという可能性もゼロではありません。

棺桶の自作は可能か?

結論からいうと、自作してそれを葬儀に使用することは可能です。

ただし、各自治体の火葬場(斎場)に火葬炉に納まる最大のサイズなどを聞いて、そちらに合わせたもの、そして底が抜けたり体液が染み出さないよう防水処置を行う必要があります。

一般の方でもDIYや日曜大工が得意な方なら自作できると思います。

しかし、棺は葬儀のプランに含まれていることが多く、棺桶を持参したからといって割引をしてくれる葬儀社は少ないといえます。

お棺についてのまとめ

こちらでは棺桶と棺・柩の違いや種類・値段やサイズについてご紹介いたしました。

「身長が高く体が大きい方は納棺できるのか?」については、世の中に出回っている棺は特大棺までで、それ以上の体型だとシーツやサラシで巻いたり、棺を特注するという方法になりますが、

火葬については今まで出来なかった事が無いことから心配ないといえます。

火葬場の熟練したプロスタッフが何とかしてくれますし、昨今では火葬場の建て替えなどで大きい火葬炉も増えてきていますので余計な心配は不要です。

こちらでは棺について、棺に納まるのかについてご紹介しましたが、不適切な表現などございましたら申し訳ございません。その他のご質問やお悩みがございましたらお気軽に問い合わせ下さい。

一級葬祭ディレクター/中原優仁【記事監修】厚生労働省認定
一級葬祭ディレクター/中原優仁

公開日 2024年2月19日|最終更新日 2024年8月14日

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