【2024年12月更新】
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葬儀の知識

海外で日本人が死亡した場合、手続きや費用・葬儀から火葬までの流れについて

海外で死亡される方も多くいます

海外において日本人が死亡するケースは割と多かったりします。

  • 旅行中に・・・
  • 仕事で出張中に・・・
  • 留学生が・・・

などのケースがほとんどで「不慮の事故」「病気や突然死」「災害」「犯罪やテロに巻き込まれる」「自殺」などなど、亡くなられる要因はさまざまです。

コロナ禍では海外に出向く日本人は激減していましたが、昨今では新型コロナウィルス感染症も落ち着き、そこまで気にする人も少なくなっていますので海外への渡航者は増加していますので、その分海外で亡くなる日本人の数も必然的に増えるといえます。

こちらでは海外で死亡した場合の手続きや費用、葬儀までの流れについて解説します。

万が一、死亡してしまったら・・・

保険に加入し、しっかりと体調を整えていても人の死はいつやってくるかは分りませんよね。事故や犯罪に巻き込まれたり、病気(心筋梗塞や脳梗塞など)で突然死亡するケースは避けようがないといえます。

日本においては危篤状態や死亡した場合、病院や警察署から連絡が来ますが海外での不幸の場合は大使館(在外公館)を通し日本政府(外務省)からの通達がくることが一般的です。

童謡や悲しみの中、渡航先の指定された機関と連絡を取り日本へのご遺体の搬送の手続きを行います。これからの流れや必要な手続きなどを通達されますので、それに従い行動しなければなりません。

ご遺体の搬送や手続き

ご遺体の搬送や手続きを行うため基本的には遺族が渡航しなければなりません。

到着後死亡地の機関の関係者の指示に従い必要な手続きを行います。死亡者のパスポートや医師からの死亡診断書などが必要になりますが、指示に従い手続きを行いますのでそこまで難しいことではありません。

搬送にはエンバーミング(防腐処置)といわれる特殊な処置と納棺(棺に納めること)が必須で、手続きや処置が終えるまでは現地で待機することが必要です。

エンバーミングを終えると納棺になるのですが、お棺の種類が日本のものとは違ったりします。
日本のお棺と海外のお棺1

日本においては平棺や山型棺・ドーム棺が主流ですが、海外から搬送されてくる場合のお棺は土葬用に作成されており、六角形のものやキャスケット棺が主流です。装飾も日本のお棺に比べ派手な感じになっており、土葬用ということでしっかりとして重たいです。

日本のものは火葬することを前提に作成されていますので、燃えやすくそこまで重いものではありません。またアジア県内の儒教色が強い地域では副葬品としてお棺の中にプリントされた紙幣が大量に納められ搬送されてくるケースもあり、納棺の儀式も国によっては全然違うものだと勉強になります。

手続きや納棺を終えるといよいよ搬送となりますが、関西空港や成田空港などの国際線に到着です。

ご遺体が空港に到着してからについて

最寄りの国際線に到着となりますのでお決まりの葬儀社に到着時間などを連絡をします。搬送については海外のご遺体の引き取りを行っている指定業者があったりしますので、亡くなった国の葬儀担当の者に従えば問題ありません。空港から遠い地域もありますが指定の葬儀社がお迎えから搬送まで行ってくれますので心配はありません。

どのような状態で送られてくるのか・・・?

ご遺体はお棺に納められてきますが、お棺そのままの状態ではありません。木箱の中にお棺が納められているケースもありますが、ブリキ(トタン)製の箱に密封されて送られてくるケースが多いです。シュウ酸のような鼻や目に刺激があるガスのようなものが入っており開封の際はキツかったりします。おそらくご遺体のにおいを消す効果のあるガスなのでしょう。

木箱の場合はインパクト(電動ドライバー)で簡単に開けることができますが、ブリキ(トタン)製の箱はグラインダーや電動ノコギリ、金切りバサミなどを用いて開封します。素手で行うとブリキの切目で手を切って怪我をすることもありますので慎重に行います。

そしてお棺を開封するとご遺体は死亡の際に着用していた服や稀にそれぞれの国の仏衣のようなものを着せているケースもあります。

搬送先や開封などは一旦、海外搬送取り扱いの指定葬儀社の会館へと搬送されます。適切な処置が終了するとお客様のお決まりの葬儀会館などへ搬送されます。

海外のお棺から日本のお棺へと移し替える

海外のお棺は土葬用に作られているため日本のものに移し替えます。理由としては火葬場で使用できるお棺のサイズの上限が決まっており、海外製はサイズが大きく日本の火葬炉に入らないからです。

エンバーミングという特殊な処置を行っていますが、ご遺体が綺麗な状態で到着することはあまりありませんので改めてエンゼルケアやお着替えなどを行い納棺を行います。

ご希望の場所への搬送

納棺が終わればご希望の場所へと搬送となります。ご自宅もしくは葬儀会館へ直接などケースはさまざまですが、葬儀を行うまではご希望の場所を決めることができます。

指定場所へと到着しましたらお決まりの葬儀社と葬儀の打ち合わせを行い葬儀の準備に入ります。

葬儀について

葬儀自体は一般的な形式・流れで行います。海外で死亡したからといって特別な葬儀を行うということはありません。決めた日時にお通夜式・葬儀告別式を行い火葬します。

搬送費用や葬儀費用について

  • 死亡先でのご遺体の処置料
  • 空輸の費用
  • 海外製のお棺費用
  • 日本に到着してからの処置料
  • 日本製のお棺費用
  • 希望場所への搬送費用

などを含め100万円~150万円が相場のようです。

上記に合わせ葬儀費用がかかります。葬儀費用の相場は50万円~150万円と幅が大きくなり、寺院への御布施や飲食費・火葬料金・返礼品などを含めると80万円~200万円程度になります。葬儀までの総額を考えると180万円~350万円と予想できますので出費は大きいといえます。

大切なこと

海外に行く際は必ず任意保険に加入しておくことです。死亡はともかく怪我や病気などの可能性も十分にあります。そして海外において万が一のことがあった場合、搬送などは保険会社が手配してくれますが、日本での葬儀社は遺族が決めないといけません。

海外旅行や出張=葬儀社探しという発想にはなりませんので、過去に葬儀を行った葬儀社に依頼するか、そうでない場合はその際に葬儀社を探して決めることになりますので、他の遺族もしくは親戚などに力を借りてインターネットなどを利用し相見積もりなどを行うことがおすすめです。

大切な人を特に海外で亡くした場合、葬儀どころではないのですが葬儀・火葬は必ず行わなければなりません。一人で葬儀社を探すとなると他の手続きもバタバタとしていますので周りの方に手伝ってもらうことがよいでしょう。

まとめ

少し余談ですが、私が勤めていた葬儀社が海外からのご遺体の受け入れをしており関西国際空港にてご遺体を引き取り、お棺の開封・ご遺体の処置・遺族の元への搬送を経験していました。特に記憶があるのは2011年2月22日にニュージーランドで大きな地震があり留学生が多数亡くなられた災害です。当時、私より若い学生達のご遺体を目の当たりにし非常に辛かった記憶が今でも残っています。

海外からの搬送の総額は100万円から150万円が相場であり、それに加え葬儀費用がかかりますので渡航の際は必ず保険に加入しておきましょう。

そして手続きや処置などに時間をかなり要しますので葬儀を行うまでは日数もかかります。悲しいのは当然ですが葬儀社を決めないといけませんので、周りの方にも手伝ってもらうことがよいといえます。

一級葬祭ディレクター/中原優仁【記事監修】厚生労働省認定
一級葬祭ディレクター/中原優仁

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