はじめに
だんじり祭りの日は葬儀が出来ない・行わないって本当ですか?そういう噂話を聞きましたが。。。
と聞かれた事があります。
このような噂話の事実についてご紹介いたします。
だんじり祭りについて
大阪府岸和田市ではオリンピックやFIFAワールドカップ・プロ野球日本シリーズより盛り上がるイベントがあります。
それは「だんじり祭り」です。
- だんぢり祭り
- 地車祭り
とも記述し、毎年9月(浜手地区)と10月(山手地区)に祭礼が行われており約300年の歴史があります。
お祭りをする理由としては元々、
- お米
- 麦
- 粟(あわ)
- 黍(きび)や稗(ひえ)
- 豆
などの、五穀豊穣を祈願するためのお祭りで、9月の祭礼では毎年約50万人程の観光客が訪れており、特に交差点を猛スピードで駆け回る「やりまわし」がダイナミックで迫力があり、有名芸能人が観に来たりと毎年大変盛り上がっています。
「岸和田だんじり祭り」は日本全国的にも割と知名度のあるお祭りで、他の地域においても五穀豊穣などを祈願するためのお祭りが沢山あったりますよね。
そして、「岸和田だんじり会館」たる場所も存在し、だんじりの歴史を勉強出来たり、だんじり囃子と呼ばれる鳴り物の体験も出来たりします。
また、「IKECHAN(いけちゃん)」と呼ばれる歌手もいらっしゃって、だんじり好きには知る人ぞ知れたカリスマ的存在となり、
- ケヤキの神
- 祭花
という楽曲は、約25年前に発売されているのにも関わらず、今でもお祭りの時期での定番曲でもあります。
そんな中、昨今よりの新型コロナウィルス感染症の影響により、昨年の令和二年度では曳行が中止され岸和田市民も何となく寂しい一年だったという方が多かったと思います。
そして今年、令和三年度は色々と会議や話し合いの末、「人の命に係わることだから、もう一年我慢して欲しい」などの反対の声もある中、浜手地区では
- 9月17日(金):試験曳き
- 9月18日(土):宵宮
- 9月19日(日):本宮
という形で、二年ぶりにだんじりの曳行が行われました。岸和田市の全町内のだんじりが参加という訳では無く、自粛した町内も一部ありました。(※22町の内、5町が自粛)
コロナ禍ということで、
- 曳行時以外のマスク着用
- 手指の消毒や検温
- 曳行の時間短縮
- ワクチン接種
- PCR検査や抗原・抗体検査
- 会食や飲酒の制限
- ソーシャルディスタンス
- 観覧場所・観客の制限対策
など、新型コロナウィルス感染症対策を徹底するよう呼びかけがありました。露店などの出店も、許可を行わなかったため一切無かったみたいです。
しかし、だんじり祭りに興味が無い人たちには「迷惑」「不謹慎」と感じた方もいらっしゃるでしょう。祭礼当日では岸和田市内において、交通規制や通行止めがありますし、二次感染・三次感染も危惧されますので当然だといえます。
例年に比べると観客も圧倒的に少なく、祭りに参加している引手(ひきて)の人達の心の片隅にも「コロナ禍」という意識はあったんじゃないかと感じます。
祭礼に参加する引手の人たちの職場によっては、2週間出勤をしてはいけないという条件があったりもしたみたいで、普段は参加しなければいけないけど、泣く泣く自粛したという人たちも居たりし、綱の長さが例年より短かったという声もありました。
※引手(ひきて)とは、重さが約四t前後あるだんじりを綱で引っ張る人たちです。
だんじり祭りは岸和田市の伝統行事でありますので、コロナ禍で祭礼の実施決断に至るまでは大変だったと思いますし、決定権のある人達は板挟みになり、反対派・賛成派がいる中での苦渋の決断だったと予想されます。
いち早く新型コロナウィルス感染症が終息し、皆が楽しく堂々と楽しめるよう心より祈っております。
※追記 10月(山手)のだんじり祭りは、宮入のみを行い曳行は自粛する地域が多くなっています。曳行する地域でも、時間短縮やコロナウィルス感染症対策を徹底・実施し、例年よりは控えめに行うと言われております。 だんじり祭りの運営に関わる皆様、「伝統の維持」「賛成派」「反対派」の意見のある中、賢明な判断と多大なる尽力、誠にお疲れ様でございました。 |
だんじり祭りの日は葬儀が出来ない?
結論から言うとそんな事はありません。
岸和田市の葬儀社は24時間365営業しており、大阪府の火葬場(斎場)では1月1日のみ休館日としている所がほとんどで、葬儀を問題なく行うことが出来ます。
それでは何故、一部の人にそんな噂が広まっているのか?
それは、祭礼日は葬儀を行わず、日程をズラすという方が多いからです。
それには人によって、さまざまな理由があり、
- 祭りに参加したい
- 故人が祭り好き
- 通行止めや交通規制であるから
- 何となく違う日に葬儀を行わなければならないと思っている
などの理由を良く耳にしたりします。
本来日本では、人が亡くなると「喪に服す」という期間があり、今でも喪中にお祝い事や祭礼はタブーという昔から残っている文化や風習がありますが、昨今では故人様やご遺族の考え・時代の変化により過ごし方などが変わりつつあります。
とはいえ、
- 不謹慎
- バチ当たり
などの意見が人によってあったり、そのような風習が強い地域もあることは間違いありません。
実際、葬儀の日程を祭り後にズラして参加する方もいらっしゃいますし、祭り前に通夜式・葬儀告別式後の当日に祭礼に参加する方も珍しくは無いです。
父親がだんじり祭りに長年携わっていて、晩年に父から「自分が亡くなっても祭りに参加してよい」という許可を得ている・祭り後に送ってあげたい。
など、岸和田市では祭礼に参加する事が最期の親孝行だという意見もあったりします。
喪中で祭礼に参加するか自粛すべきかの世間的な意見は、「自粛すべき」という意見の方が多いとは思いますが、「参加してもよい」という方もいらっしゃるのは事実です。
最終的な決断は自分で決めるのですが、葬儀日程を伸ばしてだんじり祭りに参加する場合は、周りの人とよく相談をして参加の有無を決める事が大切だといえます。
周りが自粛を勧めている意見が圧倒的多数な場合に、無理してまで参加することはあまりお勧めはできません。
日本の文化や風習的には自粛ですが、ケースによっては参加が絶対間違っているともいえないと思います。
お祭りに関わらず、
- 結婚式
- 記念日
- お正月
などと葬儀が重なってしまうことも多々あったりします。
特に結婚式の当日に大切な人が亡くなってしまうケースでは、式や新婚旅行を中止したり、参列者全員に中止の連絡というのは非常に難しいですからね。。。
祭りに興味は無いけどズラすべき?
「何となく祭礼と別の日に葬儀を行わなければならないと思っている」という方もいらっしゃると思いますが、それは誤解になります。
葬儀を行いたい日にすればよいです。
しかし、祭礼と重なってしまった場合、交通面での不便があったり、祭りに参加している一般参列者が葬儀に参列出来なかったり、遅れてしまう可能性はありますが、通夜式や告別式は問題なく行うことが出来ますのでご安心下さい。
まとめ
こちらの記事での結論は「噂話」な部分もあり「本当」の部分もあるといえます。
「忌中」や「喪中」の過ごし方というのは時代とともに変化しており、昔ほど厳しく無いとはいえど、考えや風習などを重んじている方も多数いらっしゃいます。
自分自身の考えだけを尊重せず、
- 故人様の気持ち
- 周りの方の意見
を踏まえつつ、最終的な判断をしましょう。
そして、だんじり祭りの当日に葬儀を行いたいという方は、葬儀社に気を使わずその旨を伝えましょう。
「祭礼の日に葬儀なんて・・・」と思うスタッフなんていませんから。
公開日 2021年9月19日|最終更新日 2024年8月14日